鍼灸治療を美容の分野にも利用することで、女性の顔の悩みであるシミやシワ、たるみなどを改善しようとする美容鍼が近年注目を集めています。
この美容鍼とは一体どのようなものなのでしょうか。また、顔だけではなく身体に打つ美容鍼というものもありますが、そちらにもどのような効果があるのか、それぞれ解説していきます。
そもそも美容鍼ってどんなもの?効く仕組みとは?
美容鍼とは、沢山の鍼を刺して刺激を与えることでシミやシワ、たるみなどを改善して美しくなろうとする治療法です。鍼を刺す箇所は顔であることが一般的なため、美容鍼を美顔鍼と呼ぶこともあります。
美容鍼の効果は多岐に渡りますが、代表的なところでは顔のくすみやむくみ、ほうれい線、目の下のクマやたるみなどに効果があるとされています。特にたるみやシワは比較的早く変化を実感できる方が多いです。シミなどもやや時間はかかりますが、改善が見込めます。
効果の持続力は生活習慣にもよりますが、一回の治療で一般的に1週間程度です。続けていくに従って、効果の持続力は高くなります。
身体に打つ美容鍼って?
美容鍼において、鍼を顔だけではなく身体にも打つことがあります。これは顔だけに打つのと何が異なるのでしょうか。その理解のためには、そもそもの鍼治療の仕組みについて知る必要があります。
鍼治療は東洋医学の考え方に基づいて確立された治療方法です。東洋医学の考え方とは、人間の身体には気・血・水が流れていて、この流れが滞ったり3つのバランスが崩れてくると、痛みが出たり病気になるというものです。
また、東洋医学には経絡(けいらく)やツボという概念もあります。経絡とは、身体中を結ぶ連絡網のようなものです。臓器間や筋肉なども結びますが、血管とは異なりもっと概念的なものです。そして、ツボはこの経絡における要所で、気や血・水、あるいは経絡によって結ばれた臓器に対して影響が大きい場所にあります。
鍼治療では、こうした東洋医学上重要な場所にあるツボに鍼を刺すことで刺激を与えて、気・血・水の滞った流れを改善します。それによって血行が良くなったり、むくみが取れたりするなど様々な良い効果が見込めます。それだけではなく、経絡によってツボと結ばれている臓器へも刺激を与え、機能の改善を促すことも可能とされているのです。こうした鍼治療の本来の考え方をより重視したものが、身体にも鍼を打つ美容鍼です。
身体にも鍼を打って、美容鍼の効果倍増!
例えば、口の周りに吹き出物が出ている時に「疲れてるんじゃない?」と周囲から言われたことはないでしょうか。寝不足だったり、前日にお酒を飲みすぎたりして体調が優れないという時、目がショボショボしてかすみやすいという経験をした人も多いでしょう。また、お酒の影響などで肝機能が衰えると、白目が黄色っぽくなるとも言います。これらは決して“気のせい”ではなく、内臓が何らかの理由で機能が落ちていると、実際にその影響が顔に出ることがあるためです。
顔は内臓の鏡です。口の周りや目だけではなく、顔に出るトラブルで分かる内臓の症状には沢山のものがあります。
例えば、顎やフェイスラインは腎機能との関わりが深いです。ここに吹き出物などが出ている時には腎機能の低下、ひいては婦人科系の不調が疑われ、足のむくみや身体が疲れやすいといった症状が現れることもあります。
このような時、顔の該当する箇所に直接鍼を打つことで顔のトラブルを解消するという一般的な美容鍼でも、勿論効果は期待できます。しかし更に、腎機能につながっている身体のツボなどにも併せて鍼を打つことで、身体の中から根本的に治療し、顔に出ているトラブルの改善により一層の効果をもたらすことができるようになります。
この方法は、身体の不調を根本的に治療するため、美容鍼自体の効果をより長持ちさせることにもつながります。
「美は健康から」…それが身体にも鍼を打つ美容鍼の考え方です。
美容鍼の基本はやはり身体の健康!
美容鍼は顔に鍼で刺激を与えることで細胞を活性化させて、コラーゲンやエラスチンの修復を促します。そして、肌のハリを取り戻し、たるみやシワ、シミを改善していこうとするものです。そこに、さらに身体に鍼を打つ施術をプラスすると、内臓の状態を根本的に改善できます。
美容に対する効果は一層高まり、また効果をより長く持続させることもできるようになるのです。